鹿の苑 連載長編小説『鹿の苑』 第一章 捨て子の章 第八回 3 天地(あめつち)の 神にぞ祈る 朝なぎの 海のごとくに 波たたぬ世を MP3プレーヤーの小さなスピーカーから、ゆったりとした雅楽の音色が流れている。 巫女神楽『浦安の舞』である。 あきら加は、白い単衣に緋袴という衣装で、金色に輝… トラックバック:0 コメント:0 2011年04月12日 続きを読むread more
鹿の苑 連載長編小説『鹿の苑』 第一章 捨て子の章 第六回 その午後、笹田純一は、地下鉄御堂筋線の電車に揺られていた。 車両はひどく混んでいて、仕方なく弱冷車に乗ったため、ひどくむしむししていたのである。 彼は、ミナミのアメリカ村に行こうとしていた。 アメリカ村は、渋谷や原宿のように若者の街で、ブティック、カフェ、クラブ… トラックバック:0 コメント:0 2011年03月05日 続きを読むread more
鹿の苑 連載長編小説『鹿の苑』 第一章 捨て子の章 第五回 「きみ、御子なんだって?」 旅人が訊く。 「みこ?」 あきら加が怪訝な顔になる。 「きみ、神の子なんだって?」 「えっ?」 「予知能力があるんだって?」 「………」 「僕の未来も占ってよ」 「……占いじゃないから」 二人は、奈良・飛火野の丘陵を歩いて… トラックバック:0 コメント:0 2011年02月22日 続きを読むread more
鹿の苑 連載長編小説『鹿の苑』 第一章 捨て子の章 第四回 2 荘厳なパイプ・オルガンの音色が響いている。 ステンド・グラスから漏れる朝日が、七色に光っていた。 あきら加は、磔にされたキリスト像を見ている。 大阪生野にあるカトリックの高校のチャペルだった。 この春から、彼女は、その学校に入学したのである… トラックバック:0 コメント:0 2011年01月20日 続きを読むread more