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THE 読物 ~東 月彦の小説~

連載11 微笑のあと      雨月  秋がなくなった、と鴫沢は思っている。  地球温暖化のせいで、もう九月の初旬だというのに、いまだ日中の気温は連日三十度を超えていた。  山内にある楓も、かさかさに渇いた青い葉をつけていて、一向に紅葉する気配を見せないでいる。  このままではハワイや東南アジアみたいな気候に、…
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THE 読物 ~東 月彦の小説~

連載4 微笑のあと  その日、唯識の庭は夕焼けの中にあった。  鞍馬石の影が、白砂の上に長く伸び、庭全体が紅鬱金(べにうこん)に染まり、真午に観る情景とはまた違った趣きがあったのである。  それは日本画の屏風絵のごとく淡い色彩なのに奥行きが増し、海鳥の啼き声が聞こえてきそうな錯覚を起こさせる。  清方は、陶然とし…
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