テーマ:華道

THE 読物 ~東 月彦の小説~

連載5 桜のすべて 第一部 砧    悪の華 「躰の調子悪いの?」  蛯沢フロラは、カシスのシャーベットを食べながら訊いた。  「どうして?」  とな瀬がティ-カップを置いて、彼女を見る。  二人は銀座にあるパーラーにいた。 「ひどく顔色が悪いわ」  フロラは、尊と前妻の間にできた娘だった。  彼女の…
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THE 読物 ~東 月彦の小説~

連載4 桜のすべて 第一部 砧 「いやよ、――絶対にいや!」  内海伊沙子は、叫ぶように言った。 「そう言われてもなあ・・・・」  尊は溜め息をつく。 「こんな形で、さよならなんて絶対にいやだわ!」  いつしか、彼女の声は涙声になっていた。 「潮時だと思うよ。それに、こういうのは、ルール違反じゃないのかな…
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THE 読物 ~東 月彦の小説~

連載3 桜のすべて 第一部 砧(きぬた)  その朝、とな瀬は尊と一緒に散策にでかけていた。  無論、ボリスの運動を兼ねてである。  午前中、夫は仕事がなかったので、むずがるのを彼女が無理に連れ出したのだった。  二人は、桜の森の下にいる。 「来春・・・・」  ソメイヨシノを見上げて、ぼそっと尊が言う。 「…
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THE 読物 ~東 月彦の小説~

連載2 桜のすべて 第一部 砧(きぬた)  その夜、蛯沢尊(みこと)と香眞俊作(かりましゅんさく)は、恵比寿の蕎麦屋にいた。  閉店間際の時間だったので、彼らの他に客はない。  どの街にでもある普通の蕎麦屋だった。  その店の近くで、香眞は『花香』という花屋を営んでいる。  二人は、板わさ、玉子焼き、焼き海苔…
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