テーマ:奈良

THE 読物  ~東 月彦の小説~

連載21 奈良三彩  日吉宗悦は金屏風を見つめていた。  それは、狩野元信作と伝えられる二曲一双の『夏冬芭蕉』という題のついた屏風であった。  画面にあふれんばかりに描かれた大ぶりの芭蕉の葉。それ以外は、何も描かれてはおらず、背景に金泥がほどこしてあるだけで、安土・桃山文化を色濃く繁栄した作風で、豪放磊落といえる作…
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THE 読物  ~東 月彦の小説~

連載11 奈良三彩      ※ 「日本の美は、”侘び寂び(わびさび)”だけではないんですよ」  薬師寺の境内を歩きながら、宗悦は言った。 「どういうことですか?」  ゆずり葉が訊く。 「たとえば鹿苑寺金閣、東大寺・金堂の鴟尾(しび)、日光東照宮、狩野永徳や琳派の金屏風に心ときめかなかった人間はいないと思うんです…
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THE 読物  ~東 月彦の小説~

連載10 奈良三彩 ※これまでのあらすじ※ 歌人のゆずり葉は、陶芸家の聚(あつむ)と、万葉集に登場する処女塚(おとめづか)を訪れる。 それは、古代に生きた菟原処女(うないおとめ)の古墳で、処女は二人の男に求婚されて、どちらとも決められず、自害してしまったのだった。 ゆずり葉は彼女の死が、どうしても理解できなかった。 その墓で二…
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THE 読物  ~東 月彦の小説~

連載9 奈良三彩     花盗人  日吉宗悦は離婚したばかりだった。  彼の前妻は、他座の宗家の三女で、二人の間に男の子があって、今年四歳になる。  能楽師は離婚してからというもの、何をするにも以前のように燃えなくなってしまっていた。  彼は決して自暴自棄になった訳ではなかったが、演舞にしても惰性で舞っているよ…
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