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THE 読物  ~東 月彦の小説~

連載39 奈良三彩      天女の舞い 「住所はどうやって?」  ゆずり葉は、キャラメル・フラパチーノを一口飲んでから訊いた。 「先日の関西での公演の時、京都の出版社で聞きました。あなたが、歌集をお出しになった、あの会社です」  宗悦はストローでアイスコーヒーを混ぜながら言う。 「・・・・ああ」  三軒茶…
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THE 読物  ~東 月彦の小説~

連載18 奈良三彩       炎舞  その朝、宗悦は品川・大崎にある日吉能舞台で、ひとり練習に励んでいた。  関西での『求塚』が好評だったので、次の公演でも、ぜひにとの主催者からの要請で、再演することが決まったのである。  いくら好評を博したとはいえ、彼自身納得できない箇所があったので、反省もこめて、いま一度、舞い…
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THE 読物  ~東 月彦の小説~

連載14 奈良三彩  ゆずり葉はその日、作歌に励んでいたのだが、どうも気持ちが乗らず、馬場あき子の歌集を眺めていた。  尊敬してやまない歌人の一人で、もう何度も読み返したものだったのである。  われのおに おとろえはてて かなしけれ  おんなとなりて いとをつむげり  ゆずり葉は、馬場のその歌が好きだっ…
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連載9 奈良三彩     花盗人  日吉宗悦は離婚したばかりだった。  彼の前妻は、他座の宗家の三女で、二人の間に男の子があって、今年四歳になる。  能楽師は離婚してからというもの、何をするにも以前のように燃えなくなってしまっていた。  彼は決して自暴自棄になった訳ではなかったが、演舞にしても惰性で舞っているよ…
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THE 読物  ~東 月彦の小説~

連載8 奈良三彩 ※お知らせ※ いつもご愛読ありがとうございます。 このたび、当方のブログのトップページに、googleの“サイト内検索”を設置いたしました。 何かと便利な機能ですので、もし、よろしかったら、ご利用いただければ幸いです。 今後とも、宜しくお願い申し上げます。      ※  新公会堂は、奈良公園…
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THE 読物  ~東 月彦の小説~

連載5 奈良三彩  男は日吉宗悦(そうえつ)といい、能楽師だった。  彼は、室町時代に一世を風靡した近江猿楽の犬王の末裔だったのである。 宗悦の曾祖父の宗長(むねなが)が伝説の名手といわれ、戦後独立を許されて、日吉流の再興がなされた。そして、ようやく流派の悲願であった能楽堂も、品川・御殿山に来夏、完成をみることとなった…
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THE 読物  ~東 月彦の小説~

連載4 奈良三彩  それから、二日ほどして、またウナイ乙女なる人物からコメントがあった。  投稿者:ウナイ乙女  2005年3月2日 午前3時13分  コメント:  なぜ、菟原処女の行動が理解できないの?  真摯に純真な恋を貫こうとすればするほど、彼女の行為は自然なものではないかしら。    現代のように、い…
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THE 読物  ~東 月彦の小説~

※新連載※  連載1 奈良三彩   奈良三彩     処女塚(おとめづか)  芦屋の 菟原処女(うないおとめ)の 奥津城(おくつき)を  行き来と見れば 哭(ね)のみし泣かゆ           (巻9・1810)  芦屋浜からの海風と、六甲山からの颪(おろし)が鴇色(ときいろ)に染まる晩春に、処女塚は…
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