テーマ:映画

永遠の処女――ある映画女優の生涯

長編小説『永遠の処女――ある映画女優の生涯』 第三章 永遠の処女 第十五回      1  その早朝、永田町にある富士ホテルの警備員が巡回を行っていた。  酷暑がおさまり、秋らしい気候になると、夜も長くなり、六時前だというのにいまだ薄暗い。  地下駐車場の入口の脇に、何か奇妙な物体があった。  ――!  よく見ると、何…
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永遠の処女――ある映画女優の生涯

長編小説『永遠の処女――ある映画女優の生涯』 第二章 第十三回 鎌倉の妖婦  先月までの猛暑が嘘のように、十月になってようやく朝夕は、秋らしい気温になった。  映美は愛車に乗り込み、フレンチフライをむしゃむしゃ食べ、コーヒーを飲んでいる。  まだ朝の八時前で、ルリ子の家の門は固く閉ざされたままだ。  お手伝いの明美も、出て…
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永遠の処女――ある映画女優の生涯

長編小説『永遠の処女――ある映画女優の生涯』 第二章 第十二回 鎌倉の妖婦  「東京は面白いですね、来るたびに表情が変わる」  金野が窓外を見ながら言う。  街はオレンジ色に染まりつつあり、一日が終わろうとする時刻であった。  映美はどう答えて良いか分からず、黙って東京タワーを見ている。 「スラヴィスタン共和国をご存じで…
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永遠の処女――ある映画女優の生涯

長編小説『永遠の処女――ある映画女優の生涯』 第二章 鎌倉の妖婦 第九回  その夜、映美は、ルリ子の自宅に招かれていた。  知人から近江牛をもらったとのことで、二人ですき焼きということになったのである。  上質な霜降りの牛肉が、じゅうじゅうと音をたて、甘い香りを漂わせている。 「おいしい!」  肉を食べ、映美は感嘆の声を…
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永遠の処女――ある映画女優の生涯

長編小説『永遠の処女――ある映画女優の生涯』 第二章 鎌倉の妖婦 第七回 「あなた、本当に樂一監督の娘さんなの?」  星加ルリ子が唐突に訊く。  彼女は、二十五年前と何も変わらない姿でそこに立っている。 「……は、はい」  しどろもどろで映美が答える。 「……映美ちゃんだっけ?」 「――そ、そうです!」  彼女の胸…
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永遠の処女――ある映画女優の生涯

長編小説『永遠の処女――ある映画女優の生涯』 第二章 鎌倉の妖婦 第六回      1  まさに大豪邸であった。  延々とつづくなまこ壁があり、その向こうにコナラ、モミジ、ユズリハなどの枝が見えている。  かつての大々名の上屋敷か、豪商の邸宅のようだった。  その家は、鎌倉・建長寺近くの雪ヶ谷というところにある。  ち…
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永遠の処女――ある映画女優の生涯

長編小説『永遠の処女――ある映画女優の生涯』 第一章 消えた大女優 第四回  映美は京都へ向かう新幹線の中で、先日の会議での源遥CPとの会話を思い出していた。  のぞみは、浜松を過ぎたところだった。 「娘ってどういうことですか?」  映美が訊く。 「娘って、娘ってことよ」  当然といった顔で、遥が言う。 「はあ?」 …
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永遠の処女(とわのおとめ)――ある映画女優の生涯

長編小説『永遠の処女(とわのおとめ) ――ある映画女優の生涯』 第一章 消えた大女優 第三回      ◇  月曜日は、プレッシャーに押し潰されそうになっている。  深夜枠のコメディ・ドラマのシナリオで高評価を得、今回のゴールデンへの進出である。  深夜であれば、絶対的な視聴者の数も少ないので、遊び心満載の実験的な構成が…
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永遠の処女――ある映画女優の生涯

長編小説『永遠の処女(とわのおとめ) ――ある映画女優の生涯』 第一章 消えた大女優      1  その朝、ポータルサイトのニュース・トピックスに、小さな記事が載った。  旧ソ連邦独立国で、生体脳移植手術に成功か?  【モスクワ=石毛特派員】  中央アジアのスラヴィスタン共和国の国立中央病院は、生体脳移植手術に成功し…
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鹿の苑

連載長編小説『鹿の苑』 第一章 捨て子の章 第二回  雲ひとつない秋晴れの午後だった。  ご神木の大銀杏は、黄金色に染まり、拝殿の裏には落葉が其処ここに散っている。  三歳になったあきら加は、境内で一人遊んでいた。  大銀杏の近くで、顔見知りの二、三名の主婦が何かしている。  あきら加が覗いてみると、主婦らは落下した銀…
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花片

短編連作小説『桜のすべて』 第四部 花片 第三話     2  近くのキャフェに仲間が集い 来るべき栄光を夢に見て  ぼくらはすっかりひとかどの人物になりきっていた  空き腹をかかえた みじめな暮らしにもかかわらず  未来を信じてやまなかった  ビストロの 温かい食事を前にして  ふたりでひとつのナプキンを使い 詩…
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花片

短編連作小説『桜のすべて』 第四部 花片 第二話  シルバーメタリックの欧州車が疾駆していた。  その朝、萬の車で、別荘まで送ってもらうことになったのである。  車は、琵琶湖西岸の国道161号線を北上していた。  なぜか、ホステスのミカが助手席に同乗している。  その日は比較的暖かく、風もおだやかで、湖に無数の…
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花片

短編連作小説『桜のすべて』 第四部 花片(かけら) 第一話       1  いまはもう遠い 二十歳にも満たない日々の 話をしよう  モンマルトルのアパルトマンの ふたりの部屋の窓には  リラの花が咲いていた  粗末な家具付きの部屋が ふたりの愛の巣で  見た眼にはぱっとしなかったが そこでふたりは知り合い  ぼく…
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禁じられた影

連載14 禁じられた影  その午後、篁は、大阪の梅田にいた。  そこら辺りは、喧騒な繁華街と違って、嘘のように静かな住宅街である。 「本当に、こんな所にあるのか?」  彼は、ぼそっとつぶやく。  オフィスは瀟洒なテナントビルの五階にあった。  受付に案内されて、応接室で待たされる。  その部屋は、デザイナー…
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禁じられた影

連載7 禁じられた影     3 「わざわざ来てもらって、悪いな」  堂本常務が言った。 「いえ、とんでもないです」  篁が答える。 桜梅映画の常務室だった。 「先日の企画の件なんだが……」 「はい?」 「言いにくいんだが……」 「ええ?」 「役員の中に強硬に反対する意見があってな……」 「えーっ…
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禁じられた影

連載5 禁じられた影  その午後、篁は築地にある桜梅映画の本社ビルを訪ねた。  桜梅は映画製作配給の他にも、歌舞伎、商業演劇などの興行も手掛けている。  彼は、顔見知りの女秘書に微笑を送り、常務室のドアをノックする。  どうぞ、という男の返事が聞こえた。 「失礼します」  篁は一礼して、部屋に入った。 「お…
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